認定制度が開始されてから、4回目の申請締切も終了しました。
告示校の皆さんにとっては、申請のチャンスが少なくなってきていることに焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、焦ってばかりでは何から手をつけて良いのか分からないという学校も多いかもしれません。今回は、認定申請に向けた準備の進め方を焦点に当て、ステップごとに解説していきます。
最初の一歩:書類ごとに役職の割り当てを決めましょう
認定申請を進める際、まず重要なのは書類ごとの役割分担を最初に決めることです。各書類を担当する役職を決め、責任を明確にしておくことで、作業が効率的に進みます。
特に、項目別規定集(面接時に質問を受ける観点を一覧にした資料)では、役職ごとに確認される内容が決まっているため、書類作成段階から役職ごとに関わっておくと、面接時に回答がしやすくなります。
以下は、書類ごとに担当者を割り当てる一例です:
- 設置代表者:財務関係書類や雇用関係、学校運営に関する全般的な内容を担当。設置者の経済的基盤を証明するため、決算書や納税証明書などを管理します。
- 校長:学校の募集活動や、災害時の転学支援に関する書類を担当。これらは学校の運営における重要な要素であり、校長に質問が来る可能性が高い部分です。
- 主任:教育課程(10-1や10-2)や、カリキュラムに関する書類を担当。評価方法や目標設定、進学率など学習結果の改善等に関連する部分を整備します。主任の適格性は教育内容に関する審査で行われるため、書類時にしっかり準備することが重要です。
書類作成と役職者の関わりが面接でも重要
上記の割り当てで書類作成の準備をしていくと、面接審査において、自然と担当した部分に回答することになります。
各担当者が自分の分担範囲をよく理解し、必要な準備をしておくことが、認定審査をスムーズに進める鍵となります。
最初に作成する書類:様式3号の作成
続いて、書類としてに取り組むべきは、様式3号の作成です。これがしっかりできていないと、その後の作業もスムーズに進みません。
様式3号は、学校の理念、目標等を記載する書類です。
認定申請において、理念、目的、目標は学校の方向性を示す重要な要素です。これらは、面接審査に臨む設置代表者、校長、主任教員の三者が必ず認識を合わせておく必要があります。
理念と目的・目標の整合性がカリキュラムまでつながっているか
理念、目的、目標が一貫性を持つことが大事です。
例えば、理念が「多文化共生」を目指している場合、目標に地域参加率を設定するなど、つながりがあることを確認しましょう。
チェックリスト:理念・目的・目標を整理する際のポイント
様式3号は、学校の言葉を自由に記述できる書類なので、冗長になったり、回りくどい言い回しになりがちです。
申請書類として、下記のチェックポイントも必ず意識しましょう。
- 理念:学校の存在理由が簡潔に示されているか?
- 目的:進路や対象が明確に記載されているか?
- 目標:数値で達成可能な目標が設定されているか?
次に決めるべきは「課程(コース)設計」
次に決めるのは、コース設計です。ここでは、留学のための課程の中にいくつのコースを持つかを決めていきます。
認定制度では、①学習時期、②入学時の学生のレベル、③到達目標が異なっている場合には別のコースになります。
告示制度下においては、入学時期だけでコースを分けていたという学校も多いかと思います。ここを、しっかり上記の3つの観点にあわせて整理することが重要なステップとなります。
定員が小規模~中規模の学校でも、2年コースの中で「大学進学と大学院進学では日本語能力の到達レベルを分けて考える」とした場合、既存のコースが複数に分かれるケースもあります。
ここは学校の考え方に応じてコースを設計するフェーズなので、学内で十分に検討する時間を設けましょう。
コースの大枠が決まったら、それぞれコースごとの具体的到達目標、修了要件、科目、評価の方法等カリキュラムに落とし込んでいきます。
要注意事項:選考方法の決定
告示校から認定校を目指す学校さんで、意外と重視していないのが、募集時の選考方法です。
コースの入り口となる入学選考でどのように学生を選考するのか。カリキュラムの考え方が参照枠に沿っている以上、「JLPT」など従来の形式では不十分であることに注意が必要です。
特に、学習期間が2年より短いコースでは、A2よりも高いレベルで開始時の学生の能力を想定したカリキュラムを設計することもあると思います。
そうなった場合、その入学時のレベルに到達しているということを、5つの言語活動それぞれでどのように測るのかを具体的に示す必要があります。
到達レベルに該当するCandoを測れるテストを学校独自に設定する、JLPT以外にも「話す」等の評価スケールを用意する、などほぼ間違いなく告示校では準備が必要となることに注意が必要です。
本申請の日付を迎える
ここまでのステップを踏んで、必要な書類の作成が進んだら、あとは役職ごとの分担に沿って、一つ一つ埋めていきます。すべての書類をこの記事の中で一つ一つ解説することはできませんが、役割分担を意識しながら進めていきましょう。
最後に、文科省の書類を使って学校独自のチェックを行うことが重要です。
そして、これを事前相談での書類提出の前に済ませておけることが理想です。自校の書類を確認して、提出前に不備・不整合がないか、しっかりチェックすることが、認定審査をスムーズに通過させるための大きなポイントです。
もし、自分だけではチェックが難しい場合や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。専門家のサポートを受けながら、確実に準備を進めていきましょう。
次回申請に向けて、お悩みはありませんか?
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- カリキュラムが基準を満たしているか不安
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実際の支援経験をもとにご相談に応じています。お気軽にご相談ください。

