認定校対応 日本語学校設立の基礎知識:設立のための要件とステップを解説!

日本語学校を設立するためには、学生の募集計画から運営の体制イメージ、認定校としての基準を満たすための申請手続きまで、さまざまなものをあらかじめ準備しておく必要があります。

特に、在留資格「留学」で滞在する留学生を受け入れようとする場合には文部科学省による認定を受けなければなりません。以下では、設立までに確認しなければいけない要件や準備が必要なことについて解説していますので、日本語学校を設立しようとお考えの方は、ぜひご確認ください。

目次

設立の主なステップ

日本語学校を設立するには、大きく分けて以下の3つのフェーズがあります。

認定日本語教育機関を設立しようとした場合、認定申請の期間を考慮に入れることとなりますので、その準備や、審査期間を適切に見積もることが必要です。

① 申請準備フェーズ(1~3か月目)

申請準備フェーズでは、学校の基本となる事項を決めていきます。また、中心的な人材である校長、主任教員、事務局長の採用も行っていきます。

  • 学校の理念設計
  • 資金計画の策定
  • 校舎の確保と設備準備
  • 必要な人材(校長・主任教員・事務局長)の雇用
  • 認定申請に必要な書類作成

② 認定審査フェーズ(4~10か月目)

認定審査フェーズでは、文部科学省の認定審査スケジュールに応じて準備を行っていきます。実地確認や面接審査までには開校後の学校運営の体制構築・校内周知を行っていきます。

  • 認定申請書類の提出
  • 実地確認や面接審査の実施
  • 認定審査結果の発表(書類提出から約6か月後)

③ 運営準備フェーズ(11~15か月目)

認定審査の結果「可」となった場合には開校に向けて準備を行っていきます。審査開始後から開校までの6か月間において、開校後の体制を確認していきます。

  • 認定取得後の開校準備
  • 教員の最終確保
  • 学生募集体制の構築
  • カリキュラムの最終調整

これらのステップを経て、開校が実現します。次章では、各フェーズで必要な準備を詳しく解説します。

日本語学校において、留学ビザで滞在する留学生を受け入れることができる学校は、広く「告示校」という言い方をされています。これは法務省により学校名が告示されていることによるものです。
しかし、2024年4月に新たな認定法が成立したことにより告示校は認定校へと移行が求められています。認定校は、文部科学省により認定を受けた日本語教育機関のことで、認定校である日本語学校が在留資格「留学」で滞在する外国人を受け入れることができます。

どんな準備が必要か?フェーズごとの準備と要件について

では、それぞれのフェーズごとに詳しく確認していきましょう。

① 申請準備フェーズ

申請準備フェーズでは、校舎や設備、資金計画、人材など申請時に必要なものについての確認を行っていきます。申請後に要件を満たしていないことがわかると大きく損失になる部分ですので、あらかじめ確認することで不必要なコストを抑えることができます。

校舎と設備の要件を満たしているか?

日本語学校の校舎は、認定基準に適合した建物・設備を備えている必要があります。具体的には、

  • 原則自己所有の建物であること
  • 学生一人当たり2.3㎡以上の教室面積が確保されていること
  • 各教室に窓が設置されていること

などの基準が求められます。要件はこれだけではなく、学校として満たさなければならないものがほかにも細かく規定されていますので、事前に確認が必要です。

資金の準備は十分か?

設立から2~3年間は収益が安定しにくいため、運転資金を確保する必要があります。また、認定申請時には債務超過でないことが必須です。

人材の確保

日本語学校の認定申請には、設置する法人の担当者に加えて、最低限以下の3名を確保しておく必要があります。

  • 校長:学校運営の責任者
  • 主任教員:カリキュラム作成や教員研修を担う
  • 事務局長:学生管理や行政対応を担当

校長や主任教員、事務局長(事務を統括する職員)には、必要な要件が定められています。認定の基準を定めた省令である「認定日本語教育機関認定基準」では、それぞれ確認することができますので、ご一読いただくことをおすすめいたします。

文部科学省HP:日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律について

特に注意が必要となるのは、主任教員です。主任教員は、学校のなかでカリキュラムの作成や指導体制の計画、教員研修の計画を策定することまで求められるので、特に豊富な知識・経験が求められます。

上記「認定基準」では「認定日本語教育機関において、本務等教員として日本語教育に三年以上従事した経験を有すること。」との定めがありますが、同様に「教育課程の編成及び他の教員の指導を行うのに必要な知識及び技能を有すること。」を満たすことを考えると、最低限の基準である3年の経験では難しく、この部分で認定申請の課題を感じる学校さまが多いです。

カリキュラムの作成

認定申請を行う場合、カリキュラムを含めた提出書類を準備します。その書類は、設置しようとする法人の財務状況や登記簿などの書類から、教員の体制、研修計画、留学生募集のためのエージェントの情報、有事の際の転学支援体制など多岐にわたります。

特に、カリキュラムに関しては注意が必要で、これまでの日本語学校運営での設計の仕方と異なる視点で作成していく必要があります。

具体的には、「日本語教育の参照枠」に基づき、卒業時に「何ができるようになっていることを目指すのか」を中心に設計される必要があります。これについては文部科学省が公表している「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」に詳細が記載されていますので、確認していただければと思います。

  • 各コースのレベル設計
  • 教員配置の計画
  • 学生の卒業時の日本語能力の設定 

などを明確にしておくことが重要です。

文部科学省HP:認定日本語教育機関の認定等に関すること

② 認定審査フェーズ

認定審査フェーズでは、実際に行われる審査に向けてあらかじめ確認される事項を理解して準備することが重要です。

認定申請においては、下記のステップで審査が進んでいきます。

  1. 書類提出:認定申請における必要な書類を文部科学省へ提出
  2. 実地確認:学校の施設・設備が基準を満たしているか調査
  3. 面接審査:運営計画・カリキュラムの妥当性を確認
  4. 審査結果の発表:審査完了後、認定の可否が通知される(提出から約6か月後)

主に確認される事項については、文部科学省の「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」で確認することができます。

文部科学省HP:認定日本語教育機関の認定等に関すること

なお、実際に確認される事項は日本語教育機関として現実的な運営体制となっているかなどを中心に質問をされることとなります。下記は特に重要なポイントとなりますので、ぜひ重点的にチェックいただければと思います。

重要な評価ポイント

責任者の経験:文部科学省において日本語学校を適切に運営するためには、「経験」に基づき適切に管理できる責任者が必要であるという考え方が示されています。主任教員は教員研修の実施やカリキュラム策定が求められるため、十分な経験が必要です。また、学生管理についても経験のある事務局長を配置することが求められます。

適切な教員配置:学生数に応じた教員数を確保します。認定法では明確に学生に対して必要な人員数が明記されています。特に、その日本語学校に主に所属する「本務等教員」と呼ばれる教員は、学生40人に対して必ず1人必要となります。

学生支援体制の整備:学生管理体制についても十分な準備が必要です。日本語学校での学生対応経験がある事務局長を中心に、教員や事務職員が学生対応の時間等を確保することなどが確認されます。まだ日本語能力が十分でない学生も多いため、母語でのサポート体制なども構築が必要です。

③ 運営準備フェーズ

開校前の最終チェック

認定を取得した後は、開校に向けた最終準備を行います。

  • 教員の追加採用
  • 学生募集の開始
  • 学生管理体制の確認
  • 施設の最終確認

学生募集体制の整備

日本語学校の学生募集は、現地エージェントやオンライン広告を活用するのが一般的です。開校までに安定した集客ルートを確立することが成功のカギとなります。

まとめ

日本語学校の設立には、綿密な計画と多岐にわたる準備が必要ですが、正しい情報をもとに進めれば成功は十分可能です。設立後の運営を安定させるためにも、認定校基準を満たすための徹底した準備が欠かせません。

設立に向けて準備している中、この物件では要件を満たしているのか?や、申請にあたってどんなリスクが考えられるのか?など個別のご相談事項がある場合には、ぜひお問い合わせください!

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