日本語学校の設立費用ガイド 校地・校舎は自己所有?賃貸は可能?

これから日本語学校を開設したいと考えている方へ。本記事では、在留資格『留学』で滞在する外国人を受け入れるための認定日本語学校の設立にかかる初期費用について詳しく解説します。

日本語学校を設立するには、どのくらいの資金が必要なのでしょうか? また、開校後に安定した経営を続けるためには、どのようにキャッシュフローを管理すればよいのでしょうか?

特に、土地・建物の取得に関する条件や、内装・設備、人件費の準備について詳しく説明します。

土地・建物は賃貸でもできるのか?自己所有でなければならないと聞いたが、例外となるケースはどんな場合なのか?などについて気になる方はぜひご覧ください。

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目次

日本語学校設立にかかる費用

まずは、日本語学校の設立時にかかる費用について解説します。

初期費用として、日本語学校の設立時(開校前まで)にかかる費用は主に以下の通りです。

初期費用の主な内訳

  • 土地・建物の取得・改修費用
  • 内装・設備費(教室や職員室、机や椅子、電子機器)
  • 人件費(教師・事務スタッフの雇用費)
  • 認定申請費用(手続きや書類作成)

学校の校地・校舎となる土地・建物の取得にかかる費用が最も大きくなります。特に、学生募集で有利となる立地での土地・建物を取得しようとした場合、その取得費用も大きくなります。

まずは、初期費用で最も大きくなる、土地・建物の取得についてパターン別に解説します。

土地・建物の取得について

土地・建物は日本語学校の校地・校舎となりますので当然準備が必須となるものですが、認定日本語教育機関を設立しようとする場合、その校地・校舎として満たすべき要件はあらかじめ決まっています。

特に、その所有については認定日本語教育機関認定基準で明確に「自己所有であること」と定められています。つまり、賃貸での学校運営ではなく、学校としての土地・建物を保有している必要がある、ということです。

では、賃貸の物件で日本語学校を運営することは完全にできないのでしょうか?

実は、認定基準には同時に「ただし、これと同等と認められる場合は、この限りでない。」とも書かれています。保有していなくても日本語学校を運営することができる例外が存在しているということです。

では、どのような場合に同等と認められるのでしょうか?

これについては、「認定日本語教育機関に関し必要な事項を定める件」に具体的に記載があります。

以下、場合に応じて整理していきましょう。

認定日本語教育機関の校地は原則「自己所有」ですが、以下の例外があります:

  • 国・地方自治体の所有地を利用(20年以上の賃貸権を確保)
  • 校地の半分以上を自己所有
  • 専修学校・各種学校の設置者
  • 10年以上の教育機関運営実績

例外に該当する場合、「自己所有と同等」と認められ、実際には所有していなくても校地・校舎として日本語学校を運営することができます。

自己所有で設立しなければいけないケース

原則として、認定日本語学校を新規に設立しようとした場合には土地や建物を自己所有する必要があります。これにより、設立前に建物や土地の取得費用がかかってきます。

また、すでに建物や土地を取得している場合には、要件にあった状態にするための改装にかかる費用が必要となります。教室の面積や、必要となる職員室等のスペースを適切に確保するために、要件に沿った改装を実施していきます。

自己所有でなければならないため、運営開始後の家賃等の費用は発生しませんが、初期費用としての取得費用が大きくなるというのが認定日本語学校の設立における基本パターンとなります。

例外が成立するケース

原則として自己所有である必要がある、というのが認定日本語学校の設立におけるルールとなっていますが、こちらには例外があります。

以下4つのケースが実際に示されています。

【例外①】国または地方公共団体の所有地を利用して設立するケース

1つ目は、国または地方公共団体の所有地を利用する場合です。少なくとも20年以上の貸借権・地上権があり、賃貸料の支払い能力があると認められれば、校地を借り受けて認定日本語学校の設立・運営を行うことができます。

ただし、これは譲渡ができない・難しい校地であることが条件となっています。

こちらは自己所有の土地でなくても設立することができますが、自治体との連携や賃借権の取得など、交渉に時間がかかる場合が多いため注意が必要です。

【例外②】校地の半分以上を自己所有しているケース

2つ目は、半分以上を自己所有しているケースです。

校地のすべてが自己所有でなくても、半分以上を自己所有している場合、その残りの部分について20年以上の貸借権または地上権を有している場合には例外として認められます。

【例外③】専修学校・各種学校の設置者が認定を受けるケース

認定日本語学校の設置者が、専修学校・各種学校の設置者である場合、これも例外となります。

これは、専修学校・各種学校としての日本語教育機関が認定を受けようとするときに該当します。

【例外④】10年以上の教育機関運営実績があるケース

設置しようとする法人または個人が、日本語学校などの学校を10年以上継続して運営している場合は、賃貸でも自己所有と同等と認められます。

原則として自己所有としているものの、10年以上の教育機関運営実績がある場合には賃貸でも可能とされています。

なお、これは設置しようとする法人・個人の実績に紐づくもののため、設置者が変わっている場合などには注意が必要です。

※審査は総合的に行われます。例外に該当すると思われる場合でも必ずしも賃貸が可能でない場合もありますので、事前のご相談をおすすめいたします。

内装・設備費について

必要な土地・建物の準備を行ったら、続いて内装を整えていく必要があります。

認定日本語学校では、必要となる設備が定められているので、それに沿って準備していきます。

具体的には、認定日本語教育機関認定基準に、「教室、教員室、事務室、図書室、保健室その他必要な施設を備えなければならない。」とあります。

ですので、学生の数に応じた教室、また、それに沿って雇用する教員数に応じた教員室などの授業等に必要な設備と、図書室や保健室など学校としての必要機能を備えた設備を用意していきます。

また、教室の設備には「机、椅子、黒板その他の授業に最低限必要な設備を備えなければならない。」とありますので、教室の収容人数に合わせた机・椅子等の準備を行っていきます。

認定の申請において実地確認を受ける際には、それら必要な設備について確認を受けることとなりますので、生徒の数などに応じてあらかじめ机や椅子を必要数準備しておく必要があります。

人件費について

続いて認定申請において注意すべき点として、開校前に雇用が必要な人材がいるということが挙げられます。

つまり、その人材の給与も開校前にかかる初期費用となります。

具体的には、校長・主任教員・事務局長の3つの役職にあたる人材です。

その他の教員や事務担当者については、開校時に雇用されていればよいですが、上記の3役については開校前の段階で雇用が必要となります。

申請から開校までは約1年の期間を要しますので、それぞれの役職につき1年分の人件費が必要となります。今回の記事では詳しく記載しませんが、「校長・主任教員・事務局長」は認定日本語学校の開校において非常に重要な役割を担います。

適切な雇用タイミング・給与設定・コミュニケーションを行っていくことが開校の重要なカギを握ることとなり、ひいては開校タイミングに影響していきます。

開校が1年遅れると、人件費はさらに1年分追加で加算されることとなります。こちらの費用についても注意深く設定していく必要があります。

まとめ

日本語学校を設立するためには、土地・建物の取得や内装・設備費、人件費といった初期費用が発生します。

特に、認定日本語教育機関を目指す場合には、校地・校舎の所有要件が厳しく、自己所有が原則となるものの、例外として賃貸が認められるケースもあります。

また、開校までの約1年間の期間中には、校長・主任教員・事務局長といった主要な役職の人件費が発生するため、運転資金の確保も重要です。

認定日本語学校の設立は準備期間が長くなりやすく、運転資金の確保が重要です。また、開校後に継続的な運営ができるよう、設立前に実現可能性の高い計画を立てていくことが収益化のカギとなってきます。

設立に際して具体的な建物に関するご相談や、必要な準備に関する個別のご相談がある場合には、お気軽に下記よりお問い合わせください。

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