認定申請の書類を「書いたあと」にやるべきこと

認定日本語教育機関の申請準備では、「様式をそろえること」や「書類を埋めること」が目的になりがちです。しかし認定審査では、書類が正しくそろっているかよりも、学校としての考え方や設計が、書類全体を通して一貫して説明できているかが確認されます。

実務上、不認定や追加資料の多くは、致命的な欠落ではなく、書類同士の整合性や説明のつながり不足によって生じています。教育課程、体制、運営計画がそれぞれ書けていても、相互の関係が整理されていなければ、審査では十分と評価されません。

本記事では、認定審査の視点を踏まえ、書類をどのような順番と考え方で確認すべきかを整理します。申請準備を進める中で、一度立ち止まって全体を見直すための参考としてお読みください。

目次

認定申請の書類は「学校の設計」を説明するもの

認定申請における書類は、単なる提出物ではありません。
それぞれの様式や添付資料は、その学校がどのような考え方で設計され、どのように運営されるのかを説明するための資料です。

認定審査では、「様式3には何が書いてあるか」「10-1や10-2が正しく埋まっているか」といった個別確認にとどまらず、書類全体を通して、学校の設計に無理がないかが確認されます。

たとえば、様式3に示した理念や目的が、教育課程の到達目標や科目構成に反映されているか、その教育課程を実行するための教職員体制や施設・設備が整っているか、といった点です。

このとき重要なのは、各書類が「それぞれ正しいか」ではなく、相互に矛盾せず、一つの説明として成立しているかという視点です。

書類確認とは何を確認する作業なのか

認定申請における「書類確認」は、誤字脱字や記載漏れをチェックする作業ではありません。書類確認とは、提出する書類一式を通して、学校としての考え方や設計が一貫して説明できているかを確認する工程です。

具体的には、書類確認では次のような点を確認します。

  • 申請要件を満たしているか。
  • 申請の手引きが求めている趣旨に沿った記載になっているか。
  • 教育課程として無理のない設計になっているか。
  • さらに、その教育課程を教職員体制や施設・設備、支援体制、財務計画が支えられているか。

これらを一つずつ整理することで、書類全体の説明に無理や飛躍がないかを確認していきます。

また、書類確認は「正解を探す作業」ではありません。学校ごとに前提条件や教育方針が異なる以上、設計や記載内容が一律になることはありません。

重要なのは、その学校の設計が、書類全体を通して筋の通った説明になっているかどうかです。

認定審査を意識した書類確認の進め方(4つの視点)

書類確認を行う際に重要なのは、すべての書類を一度に確認しようとしないことです。認定申請の書類は量も多く、論点も幅広いため、やみくもに見直すと「どこが問題なのか分からない」状態になりがちです。

そこで意識したいのが、認定審査で実際に行われている確認の順番に沿って、段階的に整理するという考え方です。実務上は、書類確認を次の4つの視点に分けて進めると、無理や見落としが生じにくくなります。

まず一つ目は、申請の前提条件を満たしているかという視点です。
ここでは、債務超過に該当していないか、定員に対して本務等教員が確保されているかなど、満たしていなければ申請自体が成立しない要件を確認します。この段階で問題がある場合、記載内容の工夫で対応することは難しく、体制や計画そのものの見直しが必要になります。

二つ目は、申請の手引きに即した記載になっているかという視点です。
各様式に必要な項目が漏れなく記載されているか、手引きが求めている説明の粒度や方向性に沿っているかを確認します。欄が埋まっていても、抽象的な表現に終始していたり、本来書くべき内容が別の書類に分散していたりすると、追加説明を求められる原因になります。

三つ目は、教育課程として単体で無理なく成立しているかという視点です。
理念や設置目的から、到達目標、科目構成、評価方法までが一つの流れとしてつながっているかを確認します。この段階では、教職員体制や施設・設備との整合性は一旦切り離し、教育課程そのものが論理的に破綻していないかに集中します。

四つ目は、教育課程と体制・運用との整合性が取れているかという視点です。
教育課程で想定している内容を、実際の教職員配置、施設・設備、学習・生活支援体制、財務計画が無理なく支えられているかを確認します。教育課程単体では成立していても、それを実行する体制が伴っていなければ、認定審査では問題点として指摘される可能性があります。

これら4つの視点は、上から順に積み上げていく関係にあります。前の段階が不十分なまま次に進むと、後から必ず無理が生じます。段階を意識して書類確認を行うことで、どこに問題があるのか、どこを修正すべきかが明確になり、効率的に準備を進めることができます。

書類が説明できる状態を目指す

認定申請の書類準備は、「正しく書くこと」や「すべての様式を埋めること」がゴールではありません。書類全体を通して、この学校はどのような考え方で設計され、どのような体制で運営されるのかを、一貫して説明できる状態をつくることが重要です。

書類確認を行うことで、書類の完成度が高まるだけでなく、面接審査で問われやすいポイントも自然と整理されていきます。なぜこの教育課程なのか、なぜこの体制で実行できると考えているのか。そうした問いに対して、書類を根拠に説明できるかどうかが、審査の場では大きな意味を持ちます。

もし書類を確認する中で、「どこから手をつければよいか分からない」「この設計で本当に問題ないのか不安が残る」と感じた場合は、一度立ち止まって全体を整理することが有効です。書類確認は、単なる最終チェックではなく、申請準備を整えるための重要なプロセスです。

書類が説明できる状態になったとき、申請準備と面接準備は同時に整います。本記事が、そのための整理の視点として役立てば幸いです。

次回申請に向けて、お悩みはありませんか?

  • コースの組み立て方が分からない
  • カリキュラムが基準を満たしているか不安
  • 認定要件をどこまで整備すべきか知りたい

実際の支援経験をもとにご相談に応じています。お気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次