日本語学校の設立費用・期間・要件まとめ【よくある質問10選】

日本語学校の設立に興味はあるけれど、「基準が厳しそう」「準備が大変そう」と感じている方は少なくありません。実際、学校をつくるには法律上の要件を満たす必要があり、物件探しや教員採用など多くのステップをクリアしなければなりません。

「どこから始めればいいのか」「本当に自分たちにできるのだろうか」――そんな不安を抱くのは当然のことです。

この記事では、これまで多くのご相談をいただいてきた経験をもとに、日本語学校設立に関する“よくある質問”をFAQ形式でまとめました。初めて情報を集める方でも全体像がつかめるよう、設立の検討段階から校舎・設備の要件までをわかりやすく解説していきます。

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目次

【設立検討段階編】まず知っておきたい5つの質問

日本語学校の設立を具体的に考え始める前に、事業の根幹に関わる疑問を解消しておきましょう。

Q1. 個人でも日本語学校を設立できますか?

A. はい、設立は可能です。ただし条件や現実的な運営を考えると、法人で始めるケースが大半です。

日本語学校には法律上の明確な定義がなく、誰でも開校できます。ただし外国人を在留資格「留学」で受け入れるには、2024年以降は文科省の審査を受けて「認定日本語教育機関(認定校)」になる必要があります。

この認定制度では、設置者は法人に限られず、個人でも申請可能です。

それでも実際には株式会社などの法人で設立する例が多く、これは契約や融資での信用、運営の継続性、税務面の有利さといった点で法人の方が有利だからです。

Q2. 設立に必要な準備期間はどのくらいですか?

A. 最低でも1年半から2年は見ておくことをお勧めします。

認定日本語学校は「思い立ったらすぐ開校」とはいかず、認定申請から認可までの審査期間だけでも半年以上かかります

準備は、事業計画の策定、法人設立、校舎確保、教員採用、申請書類作成など多岐にわたります。これらを順番に行うと数年以上に見えますが、実際には校舎探しと資金計画、人材確保とカリキュラム作成などは同時進行できます。

効率よく進めれば、全体で1年半〜2年程度が現実的な目安となります。

Q3. 設立費用はいくらかかりますか?

A. 校舎取得費用のほか、少なくとも数千万円規模の準備が必要です。

日本語学校の設立には、土地や建物の購入・改装費、机やPCなどの設備備品費、法人設立費、人件費、教材費といった初期費用がかかります。

さらに、開校後すぐに収益が安定するわけではないため、運転資金として最低3,000万円程度の自己資金を確保するケースが多いです。

資金計画を甘く見積もると事業の継続が難しくなるため、現実的な予算を立てることが不可欠です。

Q4. 学校を設立するメリットは?

A. 社会貢献と安定した事業運営を両立できる点に大きな魅力があります。

日本語学校の運営には大きく3つのメリットがあります。
1つ目は、外国人材の育成や地域活性化に貢献できる高い社会貢献性
2つ目は、留学生が在留資格と直結して在籍するため、安定した収益が見込めること
3つ目は、人材紹介や不動産など既存事業とのシナジー効果が期待できる点です。

単なる利益追求だけでなく、社会的な意義を感じながら事業を成長させられる点が、日本語学校設立の最大のメリットと言えるでしょう。

Q5. 設立時に最も多い失敗は?

A. 認定制度の理解不足、特に校舎に関する失敗が目立ちます。

日本語学校の設立準備でよくある失敗は、校舎の要件を満たせないケースです。

例えば、設置者本人ではなく別名義で建物を取得してしまったり、生徒数に対して必要な面積を確保できなかったりすることがあります。また、周辺環境が教育にふさわしくない教室に窓や換気設備がないといった理由で認可が下りない場合もあります。

こうした誤りは時間と資金の大きなロスにつながるため、初期段階から専門家に確認しながら進めることが重要です。

【校舎・設備編】クリア必須のハードウェア要件5選

設立準備の中でも特に時間と費用がかかるのが校舎の準備です。ここでは日本語学校の校舎要件に関する具体的な質問にお答えします。

Q6. どんな建物を校舎として使えますか?

A. 原則として自己所有で、安全・教育環境の基準を満たす建物であれば利用できます。

日本語学校は「学校教育法上の学校」ではないため、用途が「学校」である必要はありません。

オフィスビルや商業施設も校舎にできますが、耐震性・避難経路・消防設備に加え、採光や換気といった教育環境が十分に確保されていることが条件です。たとえば、地下の教室や窓のない教室は原則認められませんが、換気や照明などの基準を満たせば例外的に使用が認められる場合もあります

したがって、形式よりも「学習環境として適切かどうか」が審査のポイントになります。

Q7. 教室面積の基準はありますか?

A. はい、生徒1人あたり1.5㎡以上の面積が必要です。

日本語学校の教室は、ただ机と椅子を並べられれば良いというわけではありません。法務省の告示基準により、明確な面積要件が定められています。

  • 教室:授業を受ける生徒1人あたり1.5㎡以上
  • 校舎全体:115㎡以上、かつ同時授業を受ける生徒1人あたり2.3㎡以上

例えば定員20名の教室なら30㎡以上、全体で100名なら少なくとも230㎡以上が必要です。

単なる「机と椅子が入る広さ」ではなく、条文に基づいた面積要件が厳格に確認されるため、物件選びの段階から十分に注意する必要があります。

Q8. 自社所有ビルの一部でも使えますか?

A. はい、可能です。ただし、教育環境が適切に確保されていることが前提です。

自社ビルの一部を日本語学校にすることは、コスト面でも有利な選択肢です。ただし、その場合でも「教育活動の場」と「他の事業スペース」が混在して学生に支障を与えないよう、動線の分離や区画の明確化が必要になります。

例えば、教室の隣に社員の執務室があり、学生と従業員が同じ出入口やトイレを常時利用するような形態は望ましくありません。壁や扉での仕切り、専用の利用スペースを設けるなど、教育専用空間としての独立性を確保することが重要です。

Q9. 設備は何が必要ですか?

A. 教室に加えて、事務室・職員室・図書室・保健室など複数の専用室が必要です。

認定日本語教育機関の校舎には、以下の設備が義務付けられています。

  • 教室:定員に応じた面積と机・椅子、黒板またはホワイトボードを設置。
  • 事務室:学生情報や重要書類を管理するスペース(施錠できる書庫を含む)。
  • 教員室:教員や管理職が執務・打ち合わせを行える部屋。
  • 図書室:日本語学習関連の蔵書を備え、学生が利用できること。
  • 保健室:ベッドや救急箱を備え、体調不良時に休養できる場所。

特に 留学のための課程 を設置する場合は、図書室と保健室を校舎内に備えることが必須です(連携での代替は認められません)。

Q10. 校舎選びで気を付けるポイントは?

A. 法令遵守、立地、物件の状態を総合的に判断することが重要です。

  1. 広さと設備
    生徒数に応じた面積基準を満たし、事務室・職員室・図書室・保健室(留学課程の場合)など必要な専用室を備えること。
  2. 環境と安全性
    騒音や風俗施設がない立地であること。さらに採光・換気・耐震・消防などの基準を満たし、安心して学べる環境を整えること。
  3. 所有と利用の安定性
    校舎は原則として設置者の自己所有が求められます。例外的に賃借が認められる場合もありますが、長期にわたり教育活動を継続してきた実績など厳しい条件があります。したがって、所有を基本に計画することが望ましいです。

校舎選びは多角的な視点からの検討が求められます。候補物件が見つかったら、早めに専門家へ相談することをお勧めします。

まとめ:日本語学校設立は「準備力」がすべて

ここまで、日本語学校を立ち上げる際によく寄せられる10の疑問にお答えしてきました。
ご理解いただけたとおり、設立には 長期の準備期間・多額の資金・厳格な認定基準のクリア が求められます。

特に重要なのは、

  • 事業計画の策定
  • 校舎の選定
  • 申請書類の作成

といった専門的なプロセスを、最初から正しく進めることです。ここでつまずくと、時間もコストも大きく失われてしまいます。

「何から始めればいいかわからない」「計画が要件を満たせるか不安」という方は、専門家に相談することも選択肢のひとつです。

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