【日本語学校を設立したい方へ】制度・手続き・費用まで完全ガイド

「日本語学校を作りたいけど、何から始めればいいのかわからない」——そんな声を多く聞きます。

外国人の在留ニーズや地域の人手不足を背景に、日本語教育の需要は年々高まっていますが、日本語学校を新たに設立するには、制度上の要件や準備すべき内容が非常に多く、簡単な道ではありません。

この記事では、これから日本語学校の設立を検討している方向けに、「制度の違い」「設立の流れ」「必要資金」「失敗のリスク」など、設立に関わるポイントを体系的に解説します。初めてでも全体像がわかる「設立の完全ガイド」としてご活用ください。

日本語学校とは?どんなビジネス?

日本語学校とは、日本語を母語としない外国人に対して日本語教育を行う教育機関です。主に留学生を対象とし、「留学」ビザの発行対象校として機能するためには、一定の要件を満たす必要があります。

● 法的な位置づけ

  • ビザとの関係:留学生が「留学」ビザを取得するためには、その学生が入学する日本語学校が法務省または文部科学省の定める基準に適合していることが必要です。
  • 教育機関としての責任:学習指導だけでなく、生活支援や在留資格管理も求められます。

● ビジネスモデル

日本語学校の収益源は以下の通りです:

  • 学費収入:月額5万円〜7万円前後(地域やコースによる)
  • 寮収入:学生向け寮を運営して賃料収入を得る

月額学費の参考値(2025年5月時点)

2025年5月時点で認定を取得した日本語教育機関のうち、公開情報から確認できた学費をもとに月額換算したところ、以下のような傾向が見られました。

  • 月額最小値:47,500円
  • 月額最大値:95,833円
  • 月額中央値:66,000円
  • 月額平均値:約66,775円

これらは、各校の年間学費を12か月で割った金額をもとに算出したもので、実際には学費の支払い回数や分納方式によって異なる場合があります。

日本語学校設立に必要な要件(認定校 or 告示校)

日本語学校は、現在新しい法律に基づく移行期間となっています:

● 告示校(旧制度)

  • 法務省の「告示」に基づいて定められている日本語教育機関
  • 留学ビザの発行対象校として、長年運用されてきた方式
  • 2024年4月以降、告示校は新設不可

● 認定日本語教育機関(新制度)

  • 2024年4月に施行された認定法に基づく新制度
  • 文部科学省が認定する制度で、今後は在留資格「留学」で滞在する学生を受入れる場合、「認定校」での設立が求められる
  • 厳格な基準と定期的な審査が実施されるが、制度としての信頼性は高い

2025年現在、日本語教育機関として留学生(在留資格「留学」で滞在する外国人)を受け入れるには認定校の新設手続きを行わなければなりません

認定校として開設する場合のスケジュール

認定日本語教育機関として学校を開設するには、約1年半の準備期間が必要です。以下は代表的なスケジュールです。

時期実施内容
2025年7月まで申請書類準備・教員採用
2025年8月~10月文科省への事前相談
2025年10月認定申請(文科省への提出)
2025年冬~2026年春書類審査・面接審査
2026年4月認定結果の通知
2026年10月学校開校

※申請には、校舎の確保、教職員の内定、カリキュラム、事業計画などのすべての準備が完了している必要があります。

設立までに必要な準備と資金

日本語学校の設立には、施設・人材・教育内容の3要素が不可欠です。以下は主な準備項目と必要資金の目安です。

● 施設(校舎・校地)

  • 専有面積・教室数・必要設備などの基準あり
  • 物件取得方法:原則自己所有

● 教職員の採用

  • 校長(教育に関する経験5年以上・運営に関する識見を持つこと)
  • 教務主任(教育課程の統括者、カリキュラムの編成経験がある方が望ましい)
  • 常勤・非常勤教員(資格要件、最低人数の規定あり)
  • 事務局長の配置も必要

● 教育課程の作成

  • 日本語教育の参照枠に基づいた到達目標の設定
  • 教材の選定と時間割設計
  • 育成像にあったキャリア支援・日本文化体験科目などの設定

● 必要資金の総額

項目目安金額
施設整備・契約地域により異なる
人件費(準備期間分)1000万〜1500万円
備品・教材等30万〜60万円
その他運営準備資金500万〜1000万円
合計およそ1500万〜3000万円
※校地・校舎の取得費用を除きます

※あくまでも上記は目安の金額です。条件、状況により費用目安は変動します。

よくある失敗とその対策

設立プロジェクトでよくある失敗と、事前に取れる対策は以下の通りです。

よくある失敗対策
設備要件を満たしていない文科省HPに掲載されている資料を事前に精査し、確認
教職員の要件・配置が不十分最低配置人数と実運営に必要な人数を把握し、適切な採用計画を立てる
書類の不備や記載漏れチェックリスト作成、専門家のサポートを受ける
スケジュールの遅延申請から逆算し、1年以上前から準備開始

ポイントは「制度理解 × 早期準備 × 外部支援」です。

成功している学校の共通点

審査に合格し、安定して運営できている日本語学校には、いくつかの共通点があります。

① 地域ニーズに合ったコース設計

  • 例:観光業が盛んな地域 → 特定技能(宿泊・飲食)に対応した就職支援型コース
  • 大学・専門学校が多い地域 → 進学準備型カリキュラム

② 送り出し機関との信頼関係

  • ネパール、ベトナムなど、各国で信頼できるエージェントと提携
  • 学生の質と在留管理の安定化につながる

③ 学生支援の充実

  • 生活指導、住居支援、日本語以外の相談窓口
  • キャリア支援(履歴書・面接対策、企業訪問)
  • 地域との交流機会(ボランティア、イベント参加)

おわりに|専門家のサポートを活用して設立を成功に導く

日本語学校の設立は、制度が大きく変わった今だからこそ、「正しい情報」と「信頼できるサポート」が鍵となります。
制度理解、事前準備、事業計画の精度、教職員の確保、そして学生募集戦略まで、総合的な視点が求められます。

もしご不安がある場合は、日本語教育機関の設立支援に特化した専門家やコンサルティングサービスを活用することで、失敗リスクを大きく減らすことができます。

まずはお気軽に無料相談から、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

※本記事は2025年5月時点の法令・制度をもとに作成されています。

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