認定校はどんなカリキュラムを作成するべき?具体的な要件を確認!

2029年3月末までに、既存の告示校はすべて認定校を目指します。しかし、2029年までの申請回数は限られています。

2029年までに認定校とならなかった場合、留学生の受け入れができなくなるリスクがありますので、早めの準備が重要となります。

今回は、「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」を解説します。

「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」は、認定日本語教育機関として必要な教育課程の設計、評価、改善の枠組みを明確化したものです。

本記事では、この指針の目的や主要な内容を解説し、主に「留学のための課程」での要件について詳しく見ていきます。カリキュラムの作成前に「指針」を理解することは認定校になるためには必須となりますので、ぜひこちらの記事でも確認していただければと思います。

目次

指針」では何が示されている?

「指針」では中心的な目的として、日本語教育の「質の保証」が掲げられています。

特に、学習者の日本語能力を向上させ、日本社会で適応できるように、各教育課程で目標とする学習内容や評価方法で一定の基準が満たされることを目指しています。

認定基準と照らし合わせながら、各教育機関が提供する教育課程の内容を整え、学習者が確実に日本語能力を習得できるように定められているのです。

しかし、一定の基準を満たす、といっても多様な教育内容が認められています。この指針では下記の通り、

「本指針は、各機関における教育内容の多様性を尊重しつつ、各機関が認定日本語教育機関として、責任をもって質の高い日本語教育に取り組む枠組みを構築することにより、 教育の質保証を目指すものである。」

と示されており、それぞれの学校は分野や地域ごと、あるいは学習者のニーズに応じて独自性を出しながら、指針に沿って教育課程を編成することが求められています。

つまり、規定に沿ったカリキュラムを作るのではなく、学校それぞれが独自性を持ったカリキュラムを作成することが望ましいということです。

3分野共通で確認されること

教育課程において、認定基準によって確認される項目は以下の通りです。

〇 教育課程の目的及び目標が規定されていること。
〇 修業期間等、教育課程の時間的な枠組みが規定されていること。 
〇 教育課程の内容に関すること、授業の方法等が規定されていること。 
〇 教育課程の修了要件が定められていること。

すべての課程において上記の項目が確認されます。

特に、目標に沿った内容になっていること、目標が達成できる現実的な授業内容になっているかなど、項目ごとのつながりについても確認されますので丁寧に設計していく必要があります。

「留学のための課程」の考え方と、注意するポイント

認定申請では、それぞれ学習者の目標に応じた教育課程ごとに「留学」「就労」「生活」に分類されます。それぞれ分野ごとに求められる考え方が違いますので、改めて整理しましょう。

留学のための課程は、日本の大学や専門学校への進学や、日本での就労を目指すなど、様々な目的にわたる学習者向けのカリキュラムです。

そのため、学習者の求める内容に応えられるようなカリキュラムの設定が重要になります。

例えば、大学や専門学校へ進学することを希望する学生のための教育課程では、大学や専門学校での授業を受けるために必要な読解力を身に着けたり、単語修得などが必要になりますし、企業への就職を目的とする学習者にとってはビジネスで必要なコミュニケーションを必要とする場合があると思います。

重要なのは、進路先で求められる日本語の能力をそれぞれ到達目標や学習目標、学習内容に盛り込むことです。

ここで注意すべき点としては、学習者の目標に沿って教育課程を編成することを前提としているため、教育課程の名称についてもそれがわかりやすくなるようにしなければならないという点です。

例えば、就職を目指す学習者を主に受け入れる場合は「就職2年コース」などです。実際に指針には

「教育課程の名称は、学習者(生徒)等が日本語教育機関の選択の際に、教育に関する情報が確認できるよう、必ず主たる目的と修業期間を端的に示した名称とする。その上で、 より明確に伝わる工夫を加えた名称にすることができる 。」

とあります。

課程の到達目標・レベル Can do とは何か?

「留学」に限らず、教育課程では目標とする到達目標と到達レベルを設定しなければなりません。

到達目標で求められるのは、言語能力記述文(Can do)での設定です

言語能力記述文とは、日常生活や、就労、就学などの場面で直面する課題を達成するために必要な言語能力の水準を具体的に「~できる」のような形で示した文のことです。

たとえば、「短い、はっきりとした、簡単なメッセージやアナウンスの要点は聞き取れる」といったように、具体的な場面において何ができるのかを記述した文章のことです。

これらは別で示されている「留学分野における言語活動ごとの目標」を参考にすることができます。また、学校の特色や、学生の特性等を考慮した上で必要に応じて新たに作成することができますので、学校の理念や状況に応じた目標設定をすることができます。

到達レベルは、学習者の言語活動や背景を考慮して設定します。具体的には、5つの言語活動である、「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「書くこと」ごとに設定される到達レベルや、教育課程の目的(進学先の目標など)、学習者の背景(漢字圏かどうかなど)を考慮することとなります。

場合によっては、「聞くこと」と「書くこと」のレベルが異なっていても、しっかりと学習者の背景や目的から理由がわかる場合には問題ないと判断されます。

修業時間・学習時間の最低基準は?

留学のための課程では、長期的かつ継続的な学習が前提とされます。それは、留学する目的が大学や専門学校への進学や、日本の企業への就職など、一定の日本語能力の獲得を目的としているからであり、長期間の学習をすることでその目的が達成されやすいからです。

学校によって、受け入れる学生が違うと思います。その学生の出身国や地域に応じて、また日本語を学ぶ目的や入学前の日本語レベルを考慮した上で、必要な進路のためにはどれくらい学習期間が必要なのかを算定します。

認定基準では1年にわたって760単位時間(1単位時間=45分以上)を確保することと定められていますが、あくまでもこれを超えるように最低限の時間で授業を組むのではなく、目標に達するまでの時間をベースに設定する必要があります。

特に、漢字などの指導では、学習者の出身国によって学習時間が変動しやすい箇所になります。学習者の状況に応じて適切に学習時間を確保する必要があります。

「学習の質の確保」を掲げる認定法においては学習時間を含め、学生に応じた現実的なカリキュラムとなっているかを中心に確認されます。最低学習時間はもちろんのこと、学生が学ぶのに十分な時間となっているのか、あるいは時間が余ってしまうようなカリキュラムになってないかといったことにも注意が必要です。

参照枠・言語活動についてもチェック

「指針」では、具体的な授業におけるレベル設定や、学習内容などについても示しています。こちらの記事では続けて参照枠に基づいたレベル設計の考え方を解説していますのでぜひチェックしてください。

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