就労のための課程と留学のための課程、教員の働き方はここが違う

認定日本語教育機関には「留学」「就労」「生活」の3つの課程がありますが、就労のための課程で認定を受けた機関は2026年3月時点でわずか2機関。

留学課程の認定が60機関を超える中、就労課程はまだほとんど前例がない”未開拓の領域”です。それだけに「就労課程で教えるって、実際どういう働き方になるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そもそも就労課程は、すでに日本で働いている外国人が対象です。そのため、授業の時間帯やオンラインの活用度合い、教員の配置ルールが留学課程とは大きく異なります。

本記事では、文部科学省が公表する各種資料に基づき、教員目線で両課程の「働き方の違い」を整理します。

目次

オンライン授業の活用範囲が大きく異なる

まず両課程で大きく異なるのが、オンライン授業の取扱いです。これが教員の働き方にも直結します。

留学のための課程では対面授業が原則であり、遠隔授業(メディア授業)の活用には厳しい制限があります。一方、就労課程では総授業時数の3/4を上限として遠隔授業が認められています(認定基準第25条第2項・第3項)。

加えて、就労課程では海外在住の教員が授業を担当できるという点も見逃せません。

文部科学省FAQ(Q2-5-16)では、留学課程では海外在住教員は認められないものの、就労・生活課程ではオンライン授業が認められることから海外からの授業実施が可能と明記されています。

ただし、総授業時数の1/4以上は対面授業が必要です。また、オンライン授業は「同時かつ双方向」が要件であり、オンデマンド形式は認められません(FAQ Q2-7-32)。企業の会議室等に生徒がいて教員がオンラインで授業を行うケースも想定されており、その場合の補助者は登録日本語教員である必要はないとされています(FAQ Q2-7-34)。オンライン中心の運営設計であっても、校舎の確保と対面授業のための教員シフトの設計は不可欠です。

勤務形態の柔軟性——本務等教員はフルタイム必須ではない

オンライン授業の活用範囲が広いということは、教員の勤務形態にも影響します。

留学のための課程では、平日昼間にまとまった授業時間数が設定されるため、教員はフルタイムまたはそれに近い勤務形態が一般的です。FAQ Q2-5-12では「フルタイムやいわゆる正社員の本務等教員が極端に少ないまたはいない場合は、機関全体としての体制として不適切と判断される場合がある」とされています。

一方、就労課程では授業が夕方・夜間・土日に行われることが想定され、一人あたりの授業担当時間が少なくなりがちです。ここで重要なのが、本務等教員はフルタイムであることが必須要件ではないというFAQの見解です(Q2-5-11)。ただし、授業時数が多くても教育課程の編成に一切関与しない場合は、本務等教員の要件を満たさないとされています。

つまり、就労課程で求められるのは「勤務時間の長さ」ではなく、教育課程の編成への実質的な関与です。パートタイムの教員であっても、カリキュラム設計や教材選定などの業務に主体的に携わっていれば、本務等教員として認められる可能性があります。審査では勤務時間数や業務内容等が総合的に判断されるため、体制の妥当性を説明できる設計が重要です。

複数機関での兼務や「副業型」教員の可能性

パートタイムでの勤務が想定されるなら、当然気になるのが「他の仕事や他の機関との掛け持ちはできるのか?」という点です。

就労課程ならではの特徴として、他の仕事や他の機関との掛け持ちが現実的な選択肢になる点があります。認定基準第5条第2項第2号では、本務等教員の定義として「専ら当該機関の教育に従事する者」に加え、「これに相当する業務を担当し、かつ、本務として当該機関の教育に従事する者」も含まれています。後者であれば、日本語教育以外の業務との兼業も制度上排除されていません。

さらにFAQ Q2-5-17では、就労課程の本務等教員が複数の機関で教員として勤める場合でも、各機関の実施日数が週1日等少なく支障がないと判断されれば、複数機関での本務等教員が認められる場合があるとされています。就労課程は授業の実施日数が限られるケースが多いため、こうした柔軟な運用が想定されているのです。

一方、留学課程と就労課程の教員を兼務する場合は注意が必要です。複数分野の課程で同一教員を必要教員数として重複カウントすることはできません(FAQ Q2-5-18)。授業を担当すること自体は妨げられませんが、教員配置計画上は合算した収容定員で必要数を確保する必要があります。

雇用契約のルールは共通——業務委託は不可

ここまで就労課程の柔軟さを見てきましたが、雇用形態については留学課程と共通の守るべきルールがあります。

教員の雇用形態については、留学課程・就労課程に共通のルールがあります。FAQ Q2-1-8で明確にされているとおり、業務委託(請負・委任)による教員配置は認められません。教員は設置者及び校長の指揮命令下で組織的な教育活動に従事する必要があり、雇用契約が必要です。

人材派遣については、指揮命令関係が確保される限り一律に排除されるものではありませんが、適否は各機関で判断する必要があるとされています。就労課程ではパートタイム雇用が中心になりやすいため、「業務委託でフリーランスの先生にお願いしよう」と考えがちですが、この点は制度上明確にNGです。雇用契約(正社員またはパートタイム)での教員確保が必須となります。

就労課程の主任教員に求められるプラスαの力

最後に、就労課程特有の要件として主任教員の追加条件があります。認定基準第5条第2項第4号では、就労課程の主任教員に「外国人を雇用する事業主、地方公共団体その他の関係者との連携体制の整備に必要な知識及び経験」が求められています。FAQ Q2-5-15では、「外国人を雇用する事業主」「地方公共団体」はあくまで例示であるとされており、企業の日本語研修企画や、外国人への就労支援の実績なども該当し得ると考えられます。

留学課程の主任教員にはこのような連携体制に関する要件はありません。

就労課程では、日本語教育の指導力に加えて、企業や関係機関とのネットワーク構築力が求められる点が大きな違いです。なお、留学課程と就労課程の主任教員を1名で兼任することは制度上否定されていませんが、課程ごとに主任教員を置くことも可能です。

まとめ

就労のための課程では、オンライン授業の幅広い活用やパートタイム・副業型の教員配置、海外在住教員の起用など、留学課程とは大きく異なる柔軟な働き方が制度上認められています。

一方で、業務委託の禁止や対面授業の最低割合など、守るべきラインも明確です。

就労課程での教員としての働き方を検討している方は、こうした制度上の枠組みを押さえた上で、自分に合った関わり方を考えてみてください。

就労のための課程の認定申請を検討している方へ

教員配置の設計や認定基準への適合性について、
無料で専門コンサルタントがご相談に対応します。
対象:新規設立を検討中の方/既存校で就労のための課程の追加を検討中の方

無料相談を申し込む

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次