文科省が公表「教育課程の不認定相当事例」から見る認定審査のポイント

実は、文部科学省のサイトで「教育課程に関する主な不認定相当事例」という資料が公開されているのをご存じでしょうか。

認定制度の解説資料として大々的に案内されているわけではないため、「こんな資料が出ていたんだ」と感じる方も多いかもしれません。

この資料は、これまでの認定申請の審査の中で、教育課程に関して指摘が多かった事例が整理されたものです。

もしまだ見ていなければ、一度目を通してみるとよいと思います。
教育課程に関する主な不認定相当事例(文部科学省)

内容を見ると、審査の際にどのような点が確認されているのかが、意外と具体的に読み取れます。

つまり、審査でどのような点が問題になりやすいのかを知ることができる資料です。

本記事では、この資料の内容をもとに、審査では教育課程のどのような点が見られているのか、そして学校側はこの資料をどのように活用できるのかを整理してみたいと思います。

目次

この資料は「ヒント」かもしれない

今回の資料は、表向きには「これまでの審査で指摘が多かった内容を整理したもの」とされています。

ただ、少し見方を変えると、この資料は単なる説明資料ではなく、申請する機関に対するヒントとも読むことができます。

認定日本語教育機関の制度が始まってから、すでに複数回の審査が行われています。その中で、教育課程について同じような指摘が繰り返されてきた可能性があります。

そのため文科省としても、審査の中でよく見られる課題を整理し、今後申請を検討する機関に共有したという側面があるのかもしれません。

言い換えると、この資料は「ここがよく問題になります」という審査側からのメッセージとして読むこともできる、ということです。

では、この資料では具体的にどのような点が問題として整理されているのでしょうか。

では資料の内容を見てみましょう

例えば、資料の中では教育課程に関する指摘事例が次のように整理されています。

資料では、図の「教育課程編成の考え方」から始まり、7ページにわたって次の項目ごとに不認定事由が整理されています。

  • 教育課程編成の考え方
  • 教育課程の到達目標・到達レベル
  • 修業期間・学習時間、レベル設定及び学期
  • 学習内容、授業科目、教材等
  • 学習成果の評価、教育課程の修了要件

これらの項目は、「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」において、留学のための課程で求められる教育課程の構成要素として整理されているものです。

この指針は、認定申請の審査でも参照される重要な資料です。

本来であれば、教育課程はこの指針に沿って設計されていれば、申請書類や審査の過程において大きな問題は生じないはずです。

それにもかかわらず、今回あえて「不認定相当事例」という形で、いわば失敗の具体例が示されている点は興味深いところです。

こうした事例を整理して示すことで、教育課程の設計でどこでつまずきやすいのかが見えてきます。今後申請を検討する機関への注意喚起という意味もあるのかもしれません。

この資料から見えてくる審査のポイント

この資料に示されている不認定相当事例を見ていくと、教育課程の審査で何が確認されているのかが見えてきます。

指摘事例は、「到達目標」「学習時間」「授業科目」「評価方法」など、指針で示されている項目ごとに整理されています。しかし、内容をよく見ると、単にそれぞれの項目が存在しているかどうかを確認しているわけではないことが分かります。

例えば、学習時間については、その時間数で到達目標が達成できる設計になっているかが問われています。また、修了要件や評価方法についても、教育課程の目的や授業内容と結びついた合理的な設計になっているかが確認されています。

さらに、進学を目的とした課程でありながら修了時期が進学の時期と合っていない事例や、学習者が自ら学習計画を立てたり振り返ったりする仕組みが教育課程に組み込まれていない事例なども挙げられています。

こうした事例から読み取れるのは、審査では指針の項目を形式的に満たしているかどうかだけではなく、それぞれのルールの意味を理解したうえで教育課程が設計されているかどうかが確認されているという点です。

言い換えると、個別の書類の記載内容だけではなく、教育課程全体がどのような考え方で設計されているのかという教育課程の構造そのものが見られていると考えられます。

この資料は「セルフチェック」に使うべき

今回公表された資料は、認定基準や審査基準そのものを解説したものではありません。あくまで、これまでの認定申請の審査において、教育課程に関して指摘が多かった事例を整理したものです。

しかし見方を変えると、この資料は教育課程の設計が指針の考え方に沿っているかどうかを確認するためのセルフチェック資料として活用することができます。

先ほど見てきたように、審査では単に項目が揃っているかどうかではなく、それぞれのルールの意味を理解したうえで教育課程が設計されているかが確認されています。
そのため、この資料に示されている事例を見ながら、

  • この学習時間の設定には合理的な理由が説明できるか
  • 修了要件や評価方法は教育課程の目的と対応しているか
  • 学習者の自律的な学習を支える仕組みが実際の教育活動に組み込まれているか

といった点を一つずつ確認していくことで、教育課程の設計を見直すきっかけになります。

この資料自体は7ページとコンパクトですが、実際にチェックしてみると確認すべきポイントはかなり多くあることが分かります。それだけ、教育課程の審査では細かな点まで見られているということでもあります。

教育課程の設計が一通りまとまった段階で、一度この資料を使ってセルフチェックをしてみるとよいのではないでしょうか。

もし確認している中で「この設計でよいのか判断が難しい」と感じる部分があれば、その段階で制度の理解や教育課程の整理を改めて見直してみることをおすすめします。

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