認定日本語教育機関の修了要件ってどう決める? 出席率・成績の考え方を整理!

「出席率って、何%にしておけばいいんだろう?」

修了要件を設定する場面において、こんな疑問が出てくる方もいるのではないでしょうか。

たしかに、修了という言葉からは「ちゃんと授業に出ていればOKなのかな?」というイメージを持ちがちです。

ですが、修了要件は出席率の数値を決めれば終わり、という話ではありません。

本記事では、認定申請における修了要件の考え方を整理します。

目次

はじめに:修了要件とは?

留学のための課程で学生を修了と認めるためには、単に授業に出席しているだけではなく、学校が定めた基準で学習成果を評価することが必要です。

具体的には、法律や指針では次のように定められています。

  • 修業期間に応じて必要授業時数(年760単位時間×年数)を満たす教育課程を編成し、履修の機会を提供すること
  • 試験・課題等の適切な方法により学習成果を評価すること
  • 到達目標の達成度・履修状況・出席率等を勘案した修了要件を設定すること
  • 教育課程開始時に修了要件を学生へ周知すること

認定申請の実務上では、修了要件について次の書類・記載が求められます。

様式第10-1号
 ・修了要件の内容
 ・修了判定の考え方

添付書類(29)学則
 ・修了要件の明記
 ・修了が認められない場合の取扱い(不合格者への対応)

このように、修了要件は、出席率や成績評価などを含め、学校としてどのように修了判定を行うのかという運用ルールを整理した上で定める必要があります。

そのうえで、その考え方を学則や申請書類に明確に記載し、一貫した説明ができる状態にしておくことが、認定申請において、修了要件の妥当性を説明するための前提となります。

修了要件を考える前に、「履修」を整理する

修了要件を考えようとすると、まず「履修」という言葉で立ち止まってしまうことがあります。

日常的には「授業に出席すること」と捉えられがちですが、制度上の「履修」は、それとは少し意味合いが異なります。

重要なのは、履修=出席ではないという点です。

留学のための課程では、「760単位時間に修業期間の年数に相当する数を乗じて得た授業時数以上の授業科目を履修すること」とされていますが、年間760時間の授業を開講し、学生が履修できる体制を整えることが求められており、そのまま「760時間すべてに出席すること」を意味するものではありません。

修了要件を考える際には、まずこの「履修」の意味を整理しておくことが重要になります。

実務で考える、出席率と修了要件

履修が「授業に出席した時間そのもの」を意味しない一方で、実際の修了判定においては、学生がどの程度、教育課程に継続的に参加していたかも無視することはできません。

そこで次に問題となるのが、修了要件の中で「出席状況」をどのように位置づけるか、という点です。

「認定日本語教育機関日本語教育課程編成のための指針」では、教育課程の修了について、到達目標の達成度、履修状況、出席率等を勘案した一定の基準による修了要件を設けることが求められています。

そのため、出席率の扱いは、成績評価の設計とあわせて整理する必要があります。

成績評価に出席率を含めている場合

各期・各科目の成績評価の中に出席率が含まれており、修了要件として、すべての期の成績評価を総合して判断する仕組みになっている場合、出席状況はすでに修了判定に反映されていると言えます。

この場合、修了要件として出席率を別途定めなくても、制度上は問題ありません。

成績評価に出席率を含めていない場合

一方で、成績評価に出席率を含めていない場合には、
出席状況が修了判定に反映されないことになります。

このような場合は、修了要件の中で、出席率を別途定めておくことが望ましいと考えられます。

出席率については、修了要件そのものの数値基準が法令で定められているわけではありませんが、出席管理に関する別途のガイドラインでは、在留管理上の基準として80%が示されています。

そのため、成績評価に出席率を含めていない場合には、これを一つの目安として「出席」の基準としましょう(80%を超えても問題はありません)。

出席率を何%にするかよりも重要なのは、出席状況が、どこで、どのように修了判定に反映されているかを説明できることです。

実務で考える、成績と修了要件

修了要件を設計する際には、出席率とあわせて、成績をどのように扱うかを整理しておく必要があります。

成績について考えるポイントは、次の2点です。

・どの科目の成績を対象とするか
・いつ時点の成績を対象とするか

どの科目の成績を対象とするか

基本的には、すべての科目の成績を対象とする設計が一般的です。

教育課程では、課程の目標、科目の目標、成績評価の間に一定の整合性が取れていることが前提となるため、特定の科目だけを除外する理由がなければ、当該課程を構成する科目全体で修了判定を行うことになります。

いつ時点の成績を対象とするか

成績の対象時点については、次のいずれかとするケースが多く見られます。

  • 最終期の成績を対象とする
  • すべての期の成績を対象とする

すべての科目が最終期まで行われており、その評価が課程の目標と整合している場合には、最終期の成績を用いる運用でも問題ありません。

一方で、途中で完結する科目が含まれる場合など、最終期の成績だけでは十分な判断ができない場合には、すべての期の成績を対象とすることが望ましいと考えられます。

成績についても、どの評価を使うかより、課程の目標との関係を説明できるかが重要です。

意外と見落としがちな、修了要件を満たさなかった場合の対応

修了要件を設計する際には、「修了と認める場合」だけでなく、修了要件を満たさなかった場合にどう扱うかについても、あらかじめ整理しておく必要があります。

認定申請では、修了要件そのものだけでなく、不合格者への対応が、学則等に明確に記載されているかも確認されます。

修了が認められない場合の考え方

修了が認められない場合の対応は、修了要件の設計とセットで考えることになります。

例えば、次のような整理が考えられます。

最終期の成績を修了要件としている場合
 最終期の成績で不合格となった場合は、満期退学とし、修了は認めない。
 在籍していた事実を示す在籍証明書は発行するが、卒業証書や修了証は発行しない。

すべての期の成績を修了要件としている場合
 いずれかの期で不合格となった場合でも、その後の在籍や満期退学は認めるが、
 修了は認めない。

いずれのケースでも重要なのは、「どこで」「どの時点で」「何をもって修了不可と判断するのか」が
学則上、明確になっていること
です。

実務で特に意識したい点

修了が認められない場合の取扱いについては、制度上定めておくだけでなく、学生が課程開始時にその内容を把握していることが重要です。

認定校として開校した後の実際の運営では、

・課程開始時に、修了要件とあわせて説明する
・学則や配布資料等で確認できる状態にしておく

といった対応を行いましょう。

また、認定申請時の面接においても、そのような運用を行う予定であることを説明できるかがポイントになります。

まとめ

修了要件というと、つい「出席率は何%にするべきか?」から考えがちです。

しかし、認定日本語教育機関における修了要件は、単に出席時間の多寡だけで判断するものではありません。

重要なのは、

  • 学校として、何をもって「履修した」と判断するのか
  • 出席率や成績が、修了判定の中でどのように位置づけられているのか
  • その基準や運用を、学則や申請書類で説明できるか

という点です。

出席率は、修了要件を構成する一要素にすぎません。
成績評価との関係、課程の目標との整合性、そして、修了に至らなかった場合の対応まで含めて、学校として一貫した考え方を持っているかが問われます。

「出席率を決めなきゃ」と考える前に、そもそも修了要件とは何なのか、自校ではどのような基準で修了を判断するのか。

履修・出席・成績・不合格時の対応までを一つのルールとして整理し、それを学則や申請書類上で一貫して説明できる状態にしておくことが、認定申請では重要になります。

修了要件の整理は、制度理解と実務運用の両方が求められる分野です。自校の状況整理に迷う場合は、第三者の視点からの整理支援も一つの選択肢です。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

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