その雇用形態、面接で説明できますか?認定申請における雇用形態の考え方―新規設立・既存校共通の注意点

その雇用形態、面接で説明できますか?

「書類上は問題ないはずなんですけど……」
認定申請のご相談で、こう切り出されることは珍しくありません。

雇用形態は、要件を満たしているかどうか以上に、「学校としてどう説明できるか」が問われるポイントです。

本記事では、新規設立・既存校共通で、認定申請における雇用形態の考え方を整理します。

目次

認定申請時点で「雇用されている必要がある職種」

認定日本語教育機関の認定申請では、すべての教職員が申請時点で雇用されている必要があるわけではありません。

申請時点で雇用が必須となる3つの職種

申請時点で雇用(確保)されている必要があるのは、次の3つの職種です。

  • 校長(副校長)
  • 主任教員
  • 事務統括者(事務を統括する職員)

これらの職種は、単に配置計画上必要とされているだけでなく、日本語教育課程の設計や体制構築を実質的に主導する立場にあります。

新規設立の場合でも、既存の学校が認定申請を行う場合でも、この考え方は共通です。

校長が設置者役員の場合の扱い

校長が設置者である法人の役員を兼ねている場合には、必ずしも雇用関係が求められるわけではありません。このようなケースでは、雇用契約を締結していなくても、校長としての職務を担う立場であることが確認できれば足りるとされています。

そのため、校長が設置者役員であり、雇用関係にない場合には、雇用証明書の提出は不要とされます。ただし、役員としての立場と校長としての役割が曖昧なままになっていると、体制説明が弱くなることもあります。

申請時点で「雇用されていなくてもよい職種」

認定申請においては、すべての教職員を申請時点で雇用している必要はありません。

本務等教員・教員・生活指導担当者の扱い

請時点で雇用されている必要がない職種として、主に次の職種が挙げられます。

  • 本務等教員(主任教員を除く)
  • 教員
  • 生活指導担当者

これらの職種については、申請時点では未雇用であっても問題はありません。ただし、日本語教育課程の開始日までに確実に雇用される予定であることを示す必要があります。

「雇用予定」であればよい、という誤解

認定申請において、本務等教員や生活指導担当者については、申請時点で雇用契約を締結している必要はありません。しかし、この点はしばしば「人員は後から探せばよい」「具体的な人はまだ決まっていなくてもよい」と誤解されがちです。

実務上重要なのは、雇用契約の有無ではなく、その人がすでに特定されているかどうかです。
申請時点で雇用していなくても差し支えありませんが、誰をどの役割で配置する予定なのかが具体的に示されていない状態は、認定申請において適切とはいえません。

本務等教員や生活指導担当者については、就任承諾書の提出を通じて、申請時点で「この人がその役割を担う予定である」ことが確認できる状態が求められます。

つまり、「雇用していない」という状態は許容されても、「人が特定されていない」という状態は許容されないという整理になります。

認定審査で重視される「直接雇用と指揮命令」

認定日本語教育機関の認定審査において、雇用形態そのものと同じくらい重視されるのが、「誰の指揮命令下で教員が業務に従事しているか」という点です。

教員は誰の指揮命令下にあるのか

認定基準では、教員はすべて、設置者および校長の指揮命令下で教育活動に従事している必要があります。

ここでいう指揮命令とは、単に授業を依頼する、時間割を共有するといった形式的な関係を指すものではありません。

  • 教育課程や授業内容の方針を誰が決定しているのか
  • 授業改善や指導方法の見直しについて、誰が指示・判断しているのか
  • 問題が生じた場合に、誰が責任を持って対応するのか

こうした点が、設置者・校長を中心とした学校組織の中で完結していることが求められます。

認定審査では、教員一人ひとりの契約形態よりも、教育活動全体が校長の管理のもとで組織的に行われているかどうかが確認されます。

そのため、教員が個別に独立した立場で授業を行っているように見える体制は、審査上問題になりやすい点に注意が必要です。

認められない契約形態の考え方

この考え方から、請負契約や委任契約によって教員を配置することは認められていません。

これらの契約形態では、業務の遂行方法について原則として発注者が細かく指示を出すことができず、教育内容や指導方法に対する統制が及ばないと判断されるためです。

人材派遣を使う場合の注意点

人材派遣については、一律に認められないとされているわけではありません。ただし、その適否の判断は学校側に委ねられており、慎重な検討が必要です。

人材派遣を活用する場合でも、派遣された教員が設置者および校長の指揮命令下で業務に従事していることを、学校として説明できなければなりません。

「本務等教員」とは誰を指すのか

認定申請において「本務等教員」という言葉は頻繁に使われますが、その定義や求められる役割は、単に雇用形態や勤務時間だけで判断されるものではありません。

本務等教員とは、日本語教育機関において教育課程の編成および実施に責任を持つ立場として、本務として教育活動に従事する教員を指します。

雇用形態と本務等教員の関係

本務等教員については、正社員であることやフルタイム勤務であることが必須条件とされているわけではありません。

重要なのは雇用形態の名称ではなく、その教員が本務として教育課程の編成・運営に関与している実態があるかどうかです。

一方で、形式上は本務等教員として位置づけられていても、実態として関与が乏しい場合には、本務等教員として認められない可能性があります。

本務等教員が少なすぎる場合のリスク

本務等教員の人数が極端に少ない、あるいは実質的に不在に近い体制の場合、教育課程全体の管理責任を果たせないと判断される可能性があります。
その結果、認定基準に適合しないと評価されるリスクが生じます。

実務上よく見られるのは、

  • 最低人数を形式的に満たしているが、実態として負担が集中している
  • 本務等教員が名目上配置されているものの、課程編成への関与が説明できない
  • 主任教員と本務等教員の役割分担が曖昧で、責任の所在が不明確

といったケースです。

これらは、人数の問題というよりも、本務等教員が果たすべき役割が組織として設計されていないことに起因することが多く、認定審査において典型的な懸念点となります。

複数機関での兼務に関する考え方

認定申請においては、教員の兼務そのものが一律に禁止されているわけではありません。ただし、本務等教員については、課程の性質や役割との関係で、厳格な整理が求められます。

留学課程における原則

「留学のための課程」において、本務等教員が複数の日本語教育機関で兼務することは認められていません

留学課程では、在留管理や学習進捗、生活面を含めた継続的な管理が求められるため、本務等教員が特定の機関に専念し、教育課程全体に責任を持つ体制であることが前提とされています。

就労・生活課程での例外的扱い

一方で、「就労」や「生活」のための課程については、例外的に複数機関での兼務が認められる場合があります。これは、各機関での実施日数が少ないなど、やむを得ない事情がある場合に限られます

分野が異なっても重複カウントは不可

留学・就労・生活といった課程の分野が異なっていたとしても、同一の教員をそれぞれの課程の本務等教員として重複してカウントすることはできません

これは、分野が異なっていても、本務等教員として求められる責任の重さ自体は変わらないためです。

事務統括者・生活指導担当者の雇用形態

認定申請において、事務統括者および生活指導担当者については、教員とは異なり、特定の雇用形態が明確に定められているわけではありません。

雇用形態に明確な制限はあるのか

事務統括者・生活指導担当者については、雇用形態そのものよりも、業務を適切に遂行できる体制が整っているかどうかが重視されます。

そのため、必ずしも正社員である必要はありませんが、学校運営や学生対応において中心的な役割を担う立場である以上、形式的な配置にとどまることは許容されません。

不適切と判断されやすいケース

実務上、認定審査で懸念を持たれやすいのは、次のようなケースです。

  • 雇用形態の都合により、事務統括者や生活指導担当者が定期的に不在となっている
  • 重要な判断や対応をその場で行えず、管理や指示が滞る体制になっている
  • 名目上配置されているものの、実際の業務を十分に担っていない

これらは、雇用形態そのものの問題というよりも、体制としての実効性が確保されていないことが問題とされます。

大学・専門学校における特例的な考え方

認定日本語教育機関の認定制度では、大学や専門学校が日本語教育課程を設置する場合について、一般の日本語学校とは異なる特例的な取扱いが設けられています。

他学科教員が責任を担う場合の緩和措置

他学科の教員が日本語教育課程の運営や教育内容に責任を持つ体制であれば、本務等教員について必ずしも二人以上配置しなければならないとは限りません。

これは、日本語教育課程が完全に独立した組織として存在するのではなく、既存の学科や教員組織の中で管理・運営されることを想定しているためです。

雇用形態は「書類要件」ではなく「体制設計」

認定申請における雇用形態は、契約の形式や人数要件を満たせばよいというものではありません。誰が、どの立場で、どの業務に責任を持つのかが明確であり、学校として一貫した体制を説明できることが重要です。

雇用形態や体制の整理は、学校ごとの状況によって判断が分かれる部分も多く、書類だけを見て正解を判断するのは簡単ではありません。

「この体制で大丈夫かな?」と感じたら、無理に一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

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