認定日本語教育機関の申請準備において、「研修計画」は必須書類の一つではあるものの、
他の書類と比べると後回しにされがちな項目です。
しかし、実際の審査では、研修計画は
「この学校が、教職員の質をどのように維持・向上させていくつもりなのか」
を確認するための重要な資料として位置づけられています。
形式的に作成した研修計画は、書類上は問題がなく見えても、面接の場面で説明に詰まってしまうケースも少なくありません。
本記事では、認定申請において評価されやすい研修計画を作成するためのポイントを整理します。
なぜ研修計画が求められているのか
認定日本語教育機関の審査で研修計画が求められるのは、「研修を実施しているか」を確認するためではありません。審査では、学校として教員の質をどのように維持・向上させる仕組みを持っているかが見られています。
特に重視されるのは、
- 研修が個人任せではなく組織的に設計されているか、
- 教育課程や学生の実態と結びついているか、
- そして入職時だけで終わらない継続的・体系的な計画になっているか という点です。
研修計画は書類審査だけでなく、面接審査での説明の土台にもなります。研修の内容そのものよりも、「なぜその研修が必要なのか」を自校の言葉で説明できるかどうかが問われます。
つまり研修計画は、形式的な要件ではなく、学校の教育観と運営姿勢を示すための書類だといえます。
よくある研修計画のつまずき例
研修計画を見直そうとすると、多くの学校で次のようなつまずきが見られます。
まず多いのが、これまで実施してきた研修をそのまま書類に写してしまうケースです。
入職時の教案チェックや授業見学を研修として整理しているものの、それ以外の研修がなく、「これで十分かどうか」という視点での見直しがされていません。
また、研修の目的が曖昧なまま計画を作ってしまうケースもよくあります。
教育の質を担保するための研修なのか、教員個々のスキルアップを目的とした研修なのかが整理されておらず、研修全体として何を目指しているのか説明しづらくなります。
さらに、研修が入職時で完結してしまっている点も典型的なつまずきです。
在籍期間中を通じてどのように学び続けるのかが示されておらず、継続的な計画になっていません。
研修の構成が一辺倒になっているケースも少なくありません。
内容や難易度に段階がなく、すべての教員に同じ研修を同じ形で提供しているため、成長の道筋が見えにくくなります。
加えて、研修の種類や形式が限定的なことも課題になりがちです。
内容・形式・実施主体に偏りがあり、体系的・多様な研修計画として説明できない状態になります。
これらはいずれも、研修を「やっているかどうか」だけで整理してしまい、継続性・体系性・多様性という観点で設計できていないことが原因です。書類としては埋まっていても、審査や面接で説明に詰まりやすいポイントと言えます。
研修計画作成の基本的な考え方
認定申請における研修計画では、個々の研修内容よりも、学校としてどのような考え方で研修を設計しているかが重視されます。
審査では、研修が場当たり的に実施されているのではなく、組織として計画的に位置づけられているかが確認されます。
まず重要なのは、研修が「組織的・計画的」に整理されていることです。
特定の教員や担当者の判断に委ねられているのではなく、学校として研修の方針を定め、年間を通じた計画として設計されている必要があります。
次に、研修の中身については、校内研修・外部研修・OJTを含めた構成になっているかが見られます。
単一の研修形式に偏るのではなく、教員の経験や役割に応じて、複数の研修を組み合わせた計画になっていることが求められます。
さらに、研修計画は「書けている」だけでは不十分です。
計画を実際に遂行できる体制が整っているか、つまり、担当者の役割、業務負担、実施方法などが現実的であるかが確認されます。
このように、研修計画の基本は、研修内容を並べることではなく、組織として教員をどのように育てていくのかを一貫した考え方で示すことにあります。その考え方が、書類と説明の両方で伝わる形になっているかが、評価の分かれ目になります。
実際に作成するときのポイント
研修計画は、認定が下りた後に実際の運用が始まるものです。
そのため申請段階ですべてを確定させる必要はありませんが、認定申請では「どこまで具体的に考えられているか」が問われます。必要な情報の範囲を理解した上で整理していくことが重要です。
様式6-7では、研修ごとに一定の情報を記載することが求められますが、単に項目を埋めるのではなく、研修体系全体の中での位置づけが伝わるかを意識して作成する必要があります。
研修名や研修の目的については、内容が想像できる具体性と、研修全体の中での役割が分かる整理になっていることが重要です。単発の研修としてではなく、どの課題に対応し、どのような力を育てるための研修なのかが説明できる構成を意識しましょう。
また、対象者や研修内容については、教育課程や学生の実態、教員の経験や役割と結びついているかがポイントになります。すべての教員を一律に想定するのではなく、段階的・体系的な人材育成として整理されていることが評価されます。
時期・期間・回数・方法については、年間行事や教務スケジュールとの整合性を踏まえ、無理のない計画になっているかを確認します。
あわせて、研修を実施できる担当者や体制が現実的であるか、予算面も含めて説明できる状態にしておくことが重要です。
研修計画の作成では、各項目を個別に埋めることが目的ではありません。研修体系全体として一貫した考え方が示されているかが、書類審査だけでなく、面接審査での説明力にも直結します。
おわりに
研修計画は、様式を埋めるための作業ではなく、学校として「教員をどう育て、教育の質をどう守るのか」を整理するプロセスです。書類上で一貫した考え方が示されていれば、審査や面接での説明も自然としやすくなります。
一方で、研修の体系化や実行体制まで含めて整理するのは、想像以上に難しいものです。もし、自校の研修計画が審査観点に沿って整理できているか不安がある場合は、早めに第三者の視点で確認することも有効です。
本章が、研修計画を見直す際の一つの整理軸になれば幸いです。
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