認定申請で求められる「シラバス」とは?― 添付23から読み解く、作成の考え方と実例

認定申請の準備を進める中で、
「10-1や10-2は書けたのに、シラバスで手が止まってしまった」という声をよく聞きます。

授業計画や教材はすでにある。
成績評価についても、これまで告示校として運用してきた方法がある。
それでも、「このままで認定申請に出していいのか」と迷ってしまう。

認定申請におけるシラバスは、単なる授業計画表ではありません。
その学校が、どのような考え方で評価を行っているのかまで含めて、教育の実態を示すための資料です。

この記事では、添付書類(23)の位置づけを確認しながら、
「どう書くか」ではなく、「どう設計するか」という視点で、認定申請におけるシラバスの考え方を整理していきます。

目次

認定申請における「シラバス」の位置づけ

認定申請では、様式10-2(授業科目・教材・学習成果の評価)に加えて、
「授業科目の内容を示す資料」として、いわゆるシラバスの提出が求められています。

これは、単に様式10-2の内容を詳しく書き直すための資料ではありません。
審査では、書類上の設計と、実際の授業運営とが一致しているかを確認するために、シラバスが用いられています。

添付書類(23)では、各機関が選定した3〜5科目について、授業内容・評価方法・授業時数などが分かる資料を提出することとされています。
さらに、必要に応じて、教育課程全体や評価体系を補足する資料を提出することも可能です。

ここで重要なのは、シラバスが「制度説明用の書類」ではなく、
「実際に学校で使われている運営資料」として位置づけられているという点です。

様式10-2が「この学校は、こういう教育課程を設計している」という説明書だとすれば、
シラバスは「その設計が、授業としてどのように実装されているのか」を示す資料です。

そのため、
告示校でこれまで使用してきた授業計画表や年間指導計画をそのまま提出しようとすると、
「評価との関係が分かりにくい」「実際の運用が見えない」と指摘されることがあります。

まず押さえておきたいのは、認定申請におけるシラバスは、
様式を埋めるための添付資料ではなく、教育の実態を説明するための“証拠資料”であるという位置づけです。

告示校で行われてきた授業運用と、認定申請で求められる考え方

告示校では、多くの場合、「シラバス」という名称の資料が整備されてきたわけではありません。

授業内容は年間指導計画や教材進度表で管理され、評価方法についても、
試験や小テストの実施方法が校内の運用として共有されてきました。

こうした形でも、告示校としての教育は十分に成立してきたと言えます。

一方で、認定申請では、教育課程の内容や評価の考え方を、第三者に説明できる形で整理することが求められます。

到達目標に対して、どの授業で、何を学び、どのように評価し、その結果をどのように成績に反映するのか。

これらが、書類上で一貫して示されている必要があります。

そのため、これまで問題なく運用できていた学校ほど、「何から書けばいいのか分からない」「シラバスという形にまとめられない」と感じやすくなります。

添付23が求めている具体的な中身

認定申請においてシラバスの提出が求められている根拠は、添付書類(23)「授業科目の内容を示す資料」にあります。

ここでは、「どう書くか」の前に、制度として、何をどこまで示すことが求められているのかを一度整理しておくことが重要です。

提出対象となる授業科目の考え方

添付23では、各機関が選定した3〜5科目について、授業科目の内容が分かる資料を提出することとされています。

この「3〜5科目」は、教育課程全体を網羅するためのものではありません。

あくまで、その学校における一般的な授業内容や教育の考え方を示すのにふさわしい科目を、代表例として提示する、という位置づけです。

また、科目の選定にあたっては、

  • 複数の異なるレベル
  • 複数の異なる授業科目

を含めることが求められています。

たとえば、中級レベルの会話・作文・聴解の3科目のみを提出する、といった選定は、教育課程全体のイメージが伝わりにくいため、適切ではないとされています。

シラバスに記載すべき最低限の情報

提出する資料は、必ずしも「シラバス」という名称である必要はありません。

重要なのは、以下の内容が具体的に分かる資料になっているかどうかです。

  • 授業科目の内容
  • 授業時数
  • 成績評価の方法

また、ルーブリック等を用いて評価を行う場合には、その具体例を提出することも求められています。

ここで注意したいのは、評価方法について、「試験を行う」「レポートで評価する」といった抽象的な説明だけでは不十分だという点です。

何を、どのような基準で評価するのかが、第三者にも分かる形で示されている必要があります。

認定申請でシラバスに求められる視点

認定申請におけるシラバスで、最もつまずきやすいのが「評価」の部分です。

告示校では、
・定期試験
・小テスト
・出席状況
といった方法で成績評価を行ってきた学校も多いでしょう。

しかし、認定申請では、「評価をしているかどうか」ではなく、「その評価が、到達目標とどう結びついているか」が問われます。

たとえば、初級レベルの会話科目で「日常的な内容について、簡単なやり取りができること」を到達目標としている場合を考えてみます。

このとき、評価方法として「期末に会話試験を実施する」とだけ書かれていると、次の点が分かりません。

  • どのようなやり取りができれば到達と判断するのか
  • 何をもって「できた」と評価するのか
  • 評価者による判断のばらつきをどう防ぐのか

認定申請では、こうした点を含めて、評価の考え方が説明できるかどうかが確認されます。

つまり、「試験を行っている」こと自体よりも、到達目標 → 授業内容 → 評価方法が一貫した構造として示されているかどうかが重要になります。

シラバスに求められているのは、評価方法を増やすことでも、特別な形式を採用することでもありません。

自校が行っている評価を、「なぜこの評価で、その目標を確認できるのか」という形で、言葉として説明できる状態にすることです。

まとめ

認定申請におけるシラバスは、様式を埋めるための添付資料ではありません。

その学校が、どのような到達目標を設定し、どのような授業を行い、どのように学習成果を評価しているのか。
それを、実際の運営レベルで説明するための資料です。

告示校としてこれまで問題なく運用できていた学校ほど、
評価や授業の考え方が暗黙知になっており、
シラバスという形で言語化しようとすると、手が止まりやすくなります。

しかし、それは「できていない」からではなく、これまで説明する必要がなかっただけです。

シラバス作成で迷ったときは、「どう書くか」ではなく、到達目標・授業内容・評価がつながっているか
という視点に立ち返ってみてください。

もし、そこを自校だけで整理するのが難しい場合は、一度立ち止まって考え方から見直すことも、
認定申請を進めるうえでの大切な一歩になります。

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