日本語学校を設立するには?ステップごとに解説!

近年、日本語学習者の増加に伴い、日本語学校の設立を考える方が増えています。日本語教育は、外国から日本に来る外国人にとって必要な学習環境を提供し、より日本での生活がしやすくなるよう支援を行う機関でもあるため、その需要は今後も拡大が見込まれます。

しかし、新たに日本語学校を設立するには、実は複雑な手続きや準備が必要な場合があります。本記事では、これから日本語学校を設立しようと考えている方々に向けて、具体的なステップを詳しく解説していきます。

目次

設立のまえに

日本語学校の設立を考えている方の場合、学校では外国から日本語を学びに来る「留学生」をイメージされていることが多いかと思います。

実は日本語学校にもさまざまな種類があり、受け入れる学生もさまざまです。以下に記載するとおり、学生の種類によって日本語学校としての設立の手続きが変わってくる可能性がありますので注意が必要です。

1:「留学ビザ」で滞在する学生を受け入れる日本語学校

2:「家族滞在ビザ」や「就労ビザ」で滞在する学生を受け入れる日本語学校

1の場合、多くのケースでは外国から高校などを卒業した学生を受け入れ、日本語教育を行います。もちろんもともと日本にいた外国人でも入学することは可能ですが、学校で学んでいる間は「留学ビザ」で滞在していることを想定しています。

2の日本語学校では、もともと日本にいる外国人の方を想像すると分かりやすいかと思います。家族の都合により滞在している外国人の方や、日本にすでに就労している日本語学校が、そのビザのまま日本語を学ぶ時には2の日本語学校へ通うこととなります。

おそらくは1の日本語学校を設立しようとしている方がほとんどとなるかと思いますので、以下本文で詳しく解説していきたいと思います。

ステップ1 どんな学校にするかを決める

学校を設立するにあたり、一番大切なのは「どのような学校にするか」を決めることです。日本に留学したい学生はたくさんいるものの、どの国からくる留学生をターゲットとするのか、最終的に学生の進路はどうするのかなどの大まかな学校の設計をあらかじめしておかなければ、細かい部分を決定することができません。

また、学校を運営するにあたっては、学生が学びたいと思う立地や、魅力的な特色などによって競合となる他校との差別化を図ることも重要です。特に学校の場所は、学校を開校した後に学生の募集に与える影響が大きくなってきます。

以下のポイントに沿って学校の全体をざっくりとイメージしておきましょう。

  1. どんな学校をつくりたいか
  2. 学生が卒業したとき、どんな力が身についている状態を目指すか
    1. 専門学校や大学に進学
    2. 企業などに就職
  3. 主にどんな国からくる学生を受け入れるか

ポイント:認定法に基づいた学校設計が必須!

令和6年度より、「留学生を受け入れる日本語学校」(つまり先ほど例に挙げた1の日本語学校) を設立する際には、文部科学省に申請し許可を得なければならなくなりました。

認定制度とは、文部科学省が日本語教育の質の向上を目的として定めたもので、日本語学校は学校設立時に書類を文部科学省に提出し、その後書類審査・実地確認・面接審査などを経て日本語学校としての質を確認されることとなります。

実はこの認定申請はかなり複雑な手続きとなっています。学校の事業計画や教員全員の履歴書(調書)、カリキュラムや時間割などをあらかじめすべて作成した上で提出する必要があるほか、その書類に基づいて学校の設備は整っているかを確認する実地確認や実際に文科省に行って質問を受ける面接審査なども通過する必要があるのです。

そのため、設立時にはあらかじめ十分な準備期間が必要となるほか、以下の要素がしっかりとそろっているのかについて確認が必要です。

ステップ2 日本語学校に必要なものを準備する

日本語学校のイメージが定まったら、以下の必要なものに関して準備を進めていきます。

学校設立資金

日本語学校を始めるにあたって、理解しておいていただきたいことがあります。それは、日本語学校の収益安定化にはある程度の時間がかかるということです。

認定申請をして日本語学校を開校しようとする場合、学校が始まってすぐは学生の定員を100名以上にすることはできません。その後は一定の条件を満たせば定員を増やしていくことができますが、多くの日本語学校が最初に「学生を集めること」で苦労することとなります。

日本語学校の収益安定化には、安定的な学生募集が欠かせませんので、学校を始めてすぐには学生募集に力を入れて進めていく必要があります。

そして、その間は学校を収益面でサポートできるだけの資金準備が不可欠となります。設立後3年程度は安心できる資金確保が必要です。

学校の土地と校舎

日本語学校を設立するには、当たり前ですが土地と校舎が必要となります。

ですが、さらに認定申請を使用とした場合、その土地や校舎は「自己所有が原則」となるのです。

例外的に賃貸でも認められる場合がありますが、それは国や地方自治体が土地や建物を保有している場合などに限られます。なので、日本語学校を設立する場合にはあらかじめ土地と建物を「所有」している状態となっていることが重要となります。

※ちなみに、土地と校舎がそろっている場合、その所有者がどの名義となっているかもあらかじめ確認してください。日本語学校を設立する設置者の所有となっていない場合、所有権の移転などが必要となる可能性があります。

学校運営人材

続いて、学校に必要な人材の確保です。日本語学校を運営するためには、まず「校長」と「教務主任」の採用が必須となります。認定申請を行う際には書類に校長や教務主任の先生について記載するものがありますので、あらかじめ採用しておく必要があります。

特に、校長と教務主任は文科省による面接審査に出席し、口頭試問を受けることとなりますので、学校の理念や教育方針を深く理解し、それを実践する力が求められます。

また、これらの役職者は、学生募集、カリキュラム設計、進路指導など、学校全体を包括的に理解し、運営できる人材であることが重要です。彼らが学校のビジョンを明確にし、それを実現するためのリーダーシップを発揮できるかどうかが、学校の成長に大きな影響を与えます。

教員は学生の定員数に応じて必要な人員の数が決められています。校長や主任の先生のほかにも実際に授業を行う先生を必要に応じてあらかじめ採用しておきましょう。

ステップ3 認定申請に向け、具体的に学校準備を開始する

必要なものの準備ができたら、認定申請の準備を進めていきます。認定申請は、2024年度より新しく始まった文科省による日本語学校の認可制度です。

日本語教育機関として、適切に運営することができるのかどうかを文科省により審査されるプロセスのことを指します。認定の申請は準備が複雑で、かつ必要なものも多く準備が必要となるのですが、主に以下の2点に注意しながら準備を進めていきましょう。

学校理念に沿ったカリキュラム・コース設計

日本語学校における効果的なカリキュラム設計は、学生の学習成果に直結する重要な要素です。特に、新規設立の学校では、学校の理念や対象となる学生のニーズ、さらには学生の進路に沿った適切なゴールを明確に設定することが不可欠です。

文科省による審査では、日本語教育がどのように設計されているか、そしてそれをどのような体制で運営する予定なのかが丁寧に審査されます。学校理念を実現するようなカリキュラムとなっているのかを中心に、教員には必要な経験を積んだ人材がそろっているのかどうかや、適切に学生とコミュニケーションがとれるようなサポート体制をあらかじめ準備しているのかどうかなど、総合的に審査をうけるため、丁寧なカリキュラム・コース設計が必要となります。

学生募集戦略のためにエージェント開拓も

先にも述べましたが、新規設立の学校にとって、学生募集は大きな課題となります。効果的な学生募集を行うためには、適切なエージェント(学生仲介業者)の開拓が不可欠です。

特に、日本語学校で理念を実現するためには学生募集の段階からしっかりと計画を立てることが必要です。どの地域から学生を募集するのか、どのくらいの日本語レベルの学生を受け入れるのか、卒業後はどの進路に進む学生を集めるのか など、学校理念を実現するためにどのような運営体制を計画しているのかが審査でも確認されます。

まとめ

日本語学校の設立は複雑で、特に文科省への申請までの準備が必要不可欠となります。適切な準備と計画が重要となりますので、本記事で紹介したポイントを参考に、まずはしっかりとした計画を立て、ぜひ日本語学校設立に向けて次のステップへ進んでください。

当社では、日本語学校の設立に関わるあらゆるプロセスでのコンサルティングを提供しています。設立認可の取得からカリキュラムの開発、学生募集戦略の構築までサポートいたします。初めての方には、無料での初回相談を実施中です。ご状況に合わせたご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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